嶋田久作さん

嶋田久作さんの名前を初めて知ったのは、ディズニー映画『ヘラクレス』だった。嶋田さんは『ヘラクレス』に出てくるヴィラン・ハデスの声を担当している。母から、ハデスの声を出している人は嶋田久作さんという俳優さんと教えてもらったのを覚えている。ハデスはディズニーヴィランズの中でもかなり人気のあるキャラクターで、作品の知名度よりもハデスの知名度のほうが高いといっても過言ではない。嶋田さんは、ハデスを人気者にした立役者といっても良いだろう。そのくらい嶋田さんボイスのハデスは、悪役なのに憎めない魅力的な悪役だった。

そんな嶋田さんといえば、『帝都物語』の加藤だろう。だいぶ前にWOWOWで放送されていたクリス松村さんと川栄李奈さんの「私を映画に連れてって」という番組で、『帝都物語』が取り上げられていた時、「なんといっても圧倒的な存在感を放つのは、嶋田久作さん演じる加藤」とナレーションが入ったのは印象的だった。ネットで『帝都物語』について調べたところ、あくまで主演は勝新太郎さんで、その他にも平幹二朗さん、大滝秀治さん、宍戸錠さんといった大御所俳優が名を連ねている。その中で当時新人だった嶋田久作さんが強烈な印象を残しているのだから、それほど嶋田久作さんの演技と加藤というキャラクターが唯一無二だったことが考えられる。

いつの日か嶋田さんは僕の中である意味、忘れられない俳優さんとなっていた。嶋田さんが出ていた作品やCMは今でも覚えている。味の素の冷凍餃子のCMで、嶋田さんはギョーザ大好きマンといったキャラクターを演じていた。CMの中で、嵐の櫻井さんに詰め寄るギョーザ大好きマンは、加藤を彷彿させるようなキャラクターだったので、あのCMは櫻井さんではなく、嶋田さんを見せるためのCMだったとつくづく思う。他にもソフトバンクのCMで、嶋田さんは速度制限マンというキャラクターを演じていた。広瀬すずさんを妨害する速度制限マンも加藤を彷彿させるようなキャラクターだったので、そのCMの監督は嶋田さんのファンなのかなと勝手に推測していた。個人的にYouTubeを開設してほしい俳優さんの一人だ。